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孤独・孤立

孤独・孤立に関する問題とは?

孤独・孤立」とは?

「孤独・孤立」という言葉について明確な定義はありませんが、一般的に家族や社会との関係が希薄で他者との接触がほとんどない状態のことを指します。独居生活を送っていても、家族や友人・知人との交流が保たれていれば孤独・孤立とは言えませんが、同居する家族がいても他人との交流が乏しければ、孤独・孤立に陥ってしまう場合もあります。

OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、家族以外との付き合いがほとんどない「孤独・孤立」の状態にある人の割合は、先進国の中で日本が最も高くなっています。

孤独・孤立の状況

出典:OECD society at Glance.2005 edition

孤独・孤立によって発生する社会問題
  • 孤立死

  • ごみ屋敷

  • 地縁・血縁・社縁による
    関係性の希薄化

  • 悪徳商法の高齢者の被害

  • ひきこもり

  • 不登校

  • 8050問題

  • 虐待

  • 生活不活発病
    (廃用症候群)

  • 自殺者の増加

  • 高齢者による犯罪

  • 薬物依存

特に孤立死については
過去10年間で3倍に増えており、
深刻な社会問題となっています。

なぜ孤独・孤立状態になってしまうのか?

孤独・孤立状態に陥ってしまう要因として、下記のような社会の変化があると言われています。

  • 単身世帯の増加
  • つながっている居場所の数が少ない
  • コミュニケーションツール(SNS等)の進化
  • 非正規雇用、パートなど働き方の多様化
  • 家族のかたちの変化
  • 人とのつながりがなくても生活に支障がない

福岡市における、孤独・孤立の現状

日本の15.3%が孤独・孤立にあるというOECDの調査結果と福岡市の人口にあてはめると、約24万5,000人(2020年9月現在)が孤独・孤立状態にあると推計されます。
孤独・孤立に陥りやすいといわれている高齢者を対象とした調査では、「ほとんど付き合いがない」と「道で会えばあいさつする程度」を合わせた近所付き合いが少ないと感じている高齢者は、男性52.7%、女性35.6%となっています。

また、平成27年の国勢調査では、単独世帯の割合は、約半分近くとなっており、1世帯あたり人員が2人を下回っています。
単身世帯の割合が年々増えている状況の中で、福岡市においても孤独・孤立に関連した社会課題がさらに増すと考えられます。

近所付き合い(福岡市)

世帯構成の推移

出典:国勢調査(平成27年度)

孤立死の可能性

孤立死の可能性については、ひとり暮らし高齢者の半数以上が感じています。
その理由としては、
男性:「親族、近所付きあいの少なさ」
女性:「ひとり暮らし」
となっています。

孤独死する可能性(福岡市)のグラフ 孤独死する可能性があると思う理由(福岡市)のグラフ

孤独死する可能性(福岡市)のグラフ 孤独死する可能性があると思う理由(福岡市)のグラフ

孤独・孤立の実態(事例)

60代男性
退職後、すぐに奥さんを亡くし、引きこもりがちになった。家事や近所付き合いは、奥さんに任せっきり
だったこともあり、ゴミ出しの日が分からず、ゴミ屋敷状態に。
80代女性
独身で一人暮らし。歳を重ねるにつれ、認知症を発症。若い頃は仕事一筋だったこともあり、プライドが
高く、周囲の助けを拒否。栄養不足で緊急入院となった。
90代の母と60代の息子
息子はリストラにあい、母親の年金で生活。息子はリストラのストレスからアルコール依存症となり、母親に手をあげることが増えていった。家賃が支払えず、食事が取れず、親子で無理心中を図った。
60代の母と30代引きこもりの娘、30代知的障がいの息子
娘、息子ともに小学校の時から不登校。親離れ子離れできず、社会との接点なし。離婚した元夫からの仕送りで生活していたが、突然他界し生活ができなくなった。強制退去となり、公園での生活を送ることとなった。
40代男性
仕事のストレスにより、統合失調症を発症。家族とも疎遠となり、孤独な生活を送っていた。自宅で自死し、死後1ヶ月後に発見された。
20代未婚の母と3歳の息子
周囲の反対を押し切り出産。見知らぬ土地で子育てをしていたが、息子に手をあげるようになった。

誰もがちょっとしたきっかけで
孤独・孤立に陥る恐れがあります

課題解決のための私たちの取り組み

孤独・孤立のない社会の実現

私たちが進めるのは、「つながりで“元気”“安心”のまちづくり」です。
誰もが地域の一員として認知され、誰にでも身近に相談できる人がいる
住民主体の小地域福祉活動を推進しています。

取り組みの方向性

  1. 平常時の見守りと災害時の避難支援との連動(ふれあいネットワークの強化)
  2. 地域の居場所づくりの強化(ふれあいサロン、地域カフェなど)
  3. 地域ごとの課題や特性に応じた地域活動の展開(校区福祉のまちづくりプラン策定の推進)
  4. 生活上のちょっとした困りごとを抱える人を身近な地域で支え合えるよう、小地域での
    生活支援ボランティア活動の推進
  5. 公民館、福祉施設・事業所、企業、大学、NPOなど多様な主体との連携・協働の推進

本人への根気強い関わりと
関係機関との連携で一命を取り留めた事例

民生委員さんより、「支援が必要な高齢者がいるが、訪問や支援を断られる。どうしたらよいのか」との相談がありました。
その高齢者は、ひとり暮らしの80代女性。頼れる親族も近くにはいらっしゃいません。
若い頃は精力的に働いていましたが、管理職になって仕事量や部下とのトラブルが増え、眠れない日々が続き、統合失調症を発症されました。
またここ最近では認知症の症状が見られるようになり、近隣とのトラブルが増え、部屋の中はゴミであふれていました。認知症ということもあり、金銭管理ができず家賃の滞納、服薬管理ができていない、また栄養状態が不良といった課題もありました。

民生委員さんより相談を受けた社協職員は、地域包括支援センター(いきいきセンター)の職員と本人宅を訪問すると、「困っていない。帰ってくれ」の一言。強い拒否を示されました。そんな状況の中、根気強く訪問を重ね、少しずつたわいのない話ができるようになり、毎日のように「寂しい」などの電話が社協に入るようになりました。

そんなある日、それまで毎日何度もかかってきていた電話がなく、こちらから電話をかけても応答がなかったため、担当の⺠生委員さんに様子を見に行っていただいたところ、応答がなく無事を確認できませんでした。
不安を感じた職員が急きょ本人の家を訪問して、大声で声かけをすると、本人からか細い声で「倒れて身動きが取れない」と返事がありました。
玄関は施錠されていたため、アパートを管理している不動産会社に解錠を依頼し、直ちに本人を救急搬送し、一命を取り留めることができました。

退院後は、地域包括支援センターを通じて介護保険サービスの利用が始まり、アパートの隣人に見守りのボランティアとして協力してもらい、現在も住み慣れた自宅での生活を送られています。

「ゴミ屋敷」支援が、
本人の力を引き出した事例

ライフラインが止まり、ゴミやモノに溢れてしまった一軒家。そこで生活しているのは、知的障がいがあると思われ、自分達で片付けるのは難しいご家族です。
心配していた地域の方が声かけなどをしていましたが、関わりや支援を拒否され、長年、ご家族だけの生活を送られていました。
ある日、体調不良による病院受診をきっかけに「部屋を片付けて健康的な暮らしがしたい」と強く意識されるようになりました。
しかし、そのご家族には片付けを業者に依頼する資金はありません。

そこで、このご家族が生活を立て直せるよう、制度を用いながら行政・障がい者基幹相談支援センター・区社協で清掃プロジェク トを企画。
社協と繋がりのある福祉事業所、地域団体、一般ボランティア等に協力を呼びかけた結果、2日間で約60人もの方が協力してくれました。
また、トラックや物品、道具などの提供もあり、無事片付けることができました。
そのご家族の希望であった「部屋を片付けて健康的な暮らしがしたい」という思いを多く方の力を借りて実現することができました。

福岡市社協では、
孤独・孤立を防ぐために
さまざまな活動を行なっています。

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